アルケミスト 夢を旅した少年
僕は18歳から2年間とある外資系企業でアルバイトをしました。
そこでの経験は非常に有意義で、未完成な僕にとっては毎日素晴らしい出来事の連続で、同僚もお客様も全て僕に感動をもたらしてくれる存在でした
それまでにやった、どのアルバイトとも違い、僕という人材がどのように貢献できるのかが明確に自覚でき、正しく評価してもらえました。
スターバックス・ジャパン
今でこそ当たり前の店舗数で、人気も衰えず素晴らしいなと思いますし、ポリシーである「お客様に第三の場所「サードプレイス」を提供する」が実践できているんでしょう。 ※家と職場以外の居心地の良い場所
今から20年近く前ですので、全国的にもまだまだ店舗数は少なく、僕のいた県でも3店舗しかありませんでした。
僕は当時生活費や家賃を捻出するために複数のアルバイトを掛け持ちしなければいけなくて、その中の一つがスターバックスでした。
学校が終わる前にトイレから面接の申し込み連絡をしたのを覚えています。
「学校終わったら近いし、そのままおいで!手ぶらでいいから」
当時は面接といえば証明写真を撮ってテンプレートのような履歴書を何枚も字を間違えては書き直し、ヘトヘトになって面接に行くのが当たり前でしたが、意外な返答に驚きながらも放課後僕は人生初のスターバックスに足を踏み入れました。(初かよ)
レジで約束を伝えるとマネージャーは僕に「お店は初めて?」と聞きました。迷いましたが僕は正直に初めてだと伝えました。
何か飲みたいものを選んでと言われた僕はメニューの中で唯一理解できた「ココア」をお願いしました。「テラスで座ってて、すぐに行くから」
少しするとマネージャーは暖かいココアが入ったマグを持って来てくれて、第一声が「飲んでみて」でした。
言われるがままに飲んでみるとなんだかザラザラして口当たりが悪く美味しくなかったです。
「どう?」と聞かれて、また迷いましたが、語彙力のなかった僕はまたしても正直に「あまり美味しくない」と伝えました。
「ちょっと待ってて」とニコニコ店内に入って行き、もう一つ新しいマグを持って来ました。
「飲んでみて」
それは現在に至るまでで僕にとって最高のココアでした。
「レシピも全て一緒だよ。それがあなたの仕事になるけど、できそう?」
「やりたいです」
こうして僕の人生の中で最も短く最も印象に残る面接は終了しました。
後日、店にも慣れた頃、この面接について聞いてみたことがあります。
なぜあれで決められたのかと。
「、、目かな。あとは女の勘!」
なんじゃそらと思いましたが、その時マネージャーはバッグから1冊の文庫本を出して僕に手渡しました。それは「前兆」について書いてある本
「それあげるから読んでみて」
アルケミストでした。
後日談ですが、そのマネージャーは僕が卒業と同時に起業した後もずっとしつこく(10年間!)僕をスターバックス・ジャパンに誘い続けてくれました。今は随分と上にいると聞いています。
僕が起業することを決めて唯一いじけた人物でもあります。
その本は今でも年に2回は読み返し、僕もマネージャーの真似をして前途ある気に入った人にプレゼントしました。今までで15冊以上はプレゼントしたはずです。
本をおくるというのは実に素敵なことですね。
前置きが長くなりましたが、この本は羊飼いの少年がある日夢を見ます。その夢は宝物の場所を示す夢でした。少年は全てを捨て、夢を信じて宝物を探しにゆく。という、実にシンプルな物語です。
僕にとって1ページ1ページに人生のヒントが埋め込まれていて、何度読み返しても新しい答えとアドバイスを教えてくれる実に素晴らしい1冊です。
本が人生を形作る。大げさですが僕にはそのくらい大切な本です。
ビジネスに関しても、人間関係に対しても僕のお手本はこの本に全て書いてあります。
読む気になれば一晩で読めてしまうボリュームですが、僕にとってはこんなに詰まっている本はありません。
もしもあなたがこの本を手に取り、読んで、そして僕たちの真似をしてあなたの大切な人にこの本をプレゼントしてくれたとしたら、どれほど素敵なことでしょう。