セブンスターとのお別れ タバコのない生活

もしかする、と誰よりも一緒にいた。

セブンスターと過ごした時間はもしかすると親との時間よりも長いのかもしれない。物心がつく前の記憶は朧げなのでカウントに入れていない。そしてあまり大声では言えないが僕はとても長い時間このタバコとともに過ごした。それこそ、僕の悪い部分も良い部分も全て知っているのは、セブンスターだ。もちろん血の通っている生き物でさえないタバコにこんな感情を抱くのはおかしいことかもしれないけれど、やめた後、なんとも言えない感情に包まれたのは事実。それは失恋や別れといった類のなんとも言えない喪失感でした。

大凡一日一箱

最初はセブンスターのソフトを選んでジーンズのポケットに突っ込んでいた。アルミ紙を全部切り取らないのが自分流だ

カバンを持って車移動する頃からはボックスを選んでいた。シャープな外観がなんだかカッコよくて、男らしかった

特にヘビースモーカーというわけではないが、だいたいならすと一日一箱吸っていた。1本吸うのに5分間使うとすると1箱で1時間40分となる。 もちろん喫煙は僕のような個人事業主だと「何かを行いながら」吸うこともあるが、基本的にはタバコを吸うという動作によってほとんどの作業が一時停止する。

休みも取らずに働きづめられたのは、おそらくセブンスターがあったからだ。

毎日1時間40分、セブンスターと一緒に休憩する。

嬉しい時も、悲しい時も、遊びたい時も、一人になりたい時も、常に手の届くところにあった。


別に禁煙する気は無かったが、結果として、現在は吸ってない。まあ正確にはIQOSを使用しているので、完全な禁煙とは言えないが、食事は美味しくなったし、寝起きも良くなった。

昨年の誕生日に友人がIQOSをプレゼントしてくれた。

その友人はベトナム人だ。彼は日本にきて40年近く経つ。「日本人としてのキャリアは僕よりはるかに上だ」

僕は彼が大好きで、事あるごとにお酒を酌み交わす仲でもある。僕の中では最も年の離れた友人。 彼は日本人よりも日本人らしいベトナム人だ。

その彼がお前はそろそろタバコをやめたほうがいい。これにしろ。と渡してくれた。

僕は最初全力で拒否をした。が、その年の離れた友人の心遣いがじわじわと感じられ、2週間だけ試してみるよと言ってありがたく受け取った。

そしてそれからの半年間はまあ女々しいったらない。基本ベースはIQOSを吸っているのだけど、事あるごとにコンビニに駆け込んではライターとセブンスターを注文してしまうのだ。

そして、今の女にバレないように昔の女に会いに行くような、なんとも後ろめたい気持ち。

そんな時間をしばらく過ごしたある日、とうとうセブンスターから別れを告げられた。 体がセブンスターを受け付けなくなっていたのだ。 美味しくない。

女々しい僕にしばらく付き合ってくれてはいたけど、「そろそろ行きなさい」そう言われたような気がした。


それからの日々はポッカリと穴が空いたようななんとも言えない気持ち。IQOSなんて今でも全く美味いと思わない。あの情緒的な風情のかけらも感じられない。

 

紫煙を燻らせて物想いに耽ける事はもうできない。

 

近年喫煙者のモラルが今までに無い強さで叫ばれている。 もちろん糾弾されるべきであり、暗黙の暴力以外の何者でも無いタバコ。それは仕方のない事だ。

欧米では当たり前のシガーバーのような施設も今後は需要があるのかもしれない。

もちろん最新の設備を備えた会員制でなくてはならない。


★★★★★★★

僕は今でもセブンスターを思い出す。

もしも、将来自分が最後の時を迎える時間が近いと悟ることができたなら

「最後の一箱」を準備するだろう。

その時はおそらくだけど、「美味い」と感じることができる気がするのです。


※この記事は2018年4月10日に投稿したものとなります。おかげさまで読者様が増えて参りましたので、今後定期的に過去記事をご紹介させて頂きます。

TALK BACK  読者様の暇つぶしになれば幸いです。

 

ぜひこちらもお読みください 節約をしたことがない 欲しいものは手に入れる


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