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飲食店店長のあるべき姿とは リーダー論

一概には言えないので

とあるコンサル案件の中に興味深い事例があったので考察して見ようと思う。 その依頼は 飲食チェーンの人材教育についての案件で、よくある「売上アップ」や「集客向上」の類ではなく、「すぐに辞めてしまうアルバイトスタッフをどのように扱い、繋ぎ止めたら良いのか」と言う内容。 僕がどのようにその案件をクリアしたのかに関しては公表することは差し控えさせていただくが、その一連の中で非常に致命的な構造的欠陥が浮き彫りとなった。今日はその部分を僕なりの視点で掘り下げてみようと思う。

そのお店は

首都圏を中心に数十店舗を展開し株価もここ数年急激に上昇中の直営チェーン展開の飲食店だ。

コンセプトとしては新鮮な食材をベストなタイミングで提供するために、食材の供給元からの「流通距離」に注意して店舗数を拡大している。

僕が調査に入ったのはその中でも一番売上がよく、最も人手が足りていない店舗。

そこでまず行ったのはアルバイトスタッフに対する聞き取り調査である。社員や上席には席を外してもらい、口外しない事を当人たちに書面で約束し、用意してきた簡単な質問を投げた。

会うことができたひとりひとりに聞き取りをし、その中から繋がった「すでに退職してしまった数人」にもメールで質問する事を許された。

こちらのお店では月に数人のアルバイト志望の人間が面接に訪れ、なんとそのうち100%を採用している。そして驚くべきは2018年1月から4月の期間で入社し現在も働いているアルバイトは現在たったの1人しかいないのである。(しかも1月入社だそう)そのスタッフは飲食店経験豊富だったようだ。

採用されたスタッフに新品の制服を支給し、簡単な研修を行う。そして数回の出勤の後忽然と連絡が取れなくなる。ひどい時などは初出勤に出てこないそうだ。それだけでもなかなかの赤字だ(このグループでは制服の使い回しはしていない。)

通常シフトは社員5名ほど、パート5名、アルバイト3名で1日を回すそうだが、現在このアルバイトの部分が根本的に人手不足で、社員やパートで穴埋めをしようにも、法的勤務時間上限にすぐに達してしまうようで、なんとこの5月は調整のために数日店を休まざるを得ないのだと言う。現在のアルバイトは高校生比率が高く21時以降勤務させられない。

うれしい悲鳴なのかなんなのか、悩み事とはかくも多種多様ということか。


致命的構造的欠陥

聞き取りができたアルバイトの方々の奇妙な共通見解が、『店長』についてだ。

口を揃えて「仕事ができる」と評されてはいるが、とにかく「雑」なのだそう。

その店長は中国出身で日本でのキャリアは長いのだが、日本語がそこまで堪能なわけではない。 その結果必要な意思の疎通を図ろうとするときに別の日本人社員を迂回する必要があるのだそう。

直接店長とやりとりをすると、(シフトなど)ほとんどの場合きちんと伝わらないのだという。(言った言わない、聞いた聞いてない)

休みだと思っていれば電話がなり、「どうしてこない」ということが頻発しているそうだ。

出勤すればシフトが書き換えられており、当人への連絡を忘れることもあったそうな。

そして忙しい時間帯には普段はキッチンにいる店長が前に出てきて接客をする。それだけ聞くと良いようにも聞こえるが、それがアルバイトたちを失望させているのだと気づいた。

社会経験の少ないアルバイトスタッフたちは右も左も分からないまま、日々無意識に色々な情報や経験を吸収してゆくが、旗振り役である店長が彼らのポジションに出張ってきて忙しそうに自分たちの「尻拭い」を行う。その光景はアルバイトスタッフ達からやる気を削ぐには十分である。

一つの店舗の中にそれぞれのポジションと役割がある。

そのポジションを最も無意識に飛び越えてくるのはほとんどの場合「店長」だろう。

聞き取りを行ったスタッフ全員が直接的・具体的ではなかったがこの部分を気にしていた。

「お店を回す」ことに固執するあまり(自分一人で回しているような感覚)周りのスタッフの気持ちに目がいっていない。(価値を定義、自覚させてあげられない)

僕が思うこういった「雇われ店長の立場」はお店の形にもよるが今回のケースのような店舗ではホールに出るべきではないだろう。

オーナー店長でなく雇われ店長ならばポジションも明確だ。社員もアルバイトも自分のポジションを完遂するだけで良い。

それで立ちいかないのであればそもそものプラン・システムを見直すべきで、人材を叱りつけている場合ではない。

そして言語コミュニケーションが得意ではない、意思疎通が難しい店長を店長として運用することには無理があるように思えてならない。

接客は最前線のホールスタッフが行う。ホールスタッフに接客方針なり目標を伝搬させるのは店長。

ホールスタッフを信用すること。信用できるように教育することが店長の仕事であると僕は思います。


すぐに道具を取り上げて、「やってみせる」大人は非常に多い。

転んで怪我をする前に全ての危険を排除してしまっては子供は何も考えなくなってしまう。

そして、経験に勝る大人に全てを取り上げられてしまっては楽しくもなんともないのである。

「口で説明できないからやってみせる」ようなタイプに管理職は向かないだろう。

僕個人的にはジェスチャーが多いタイプの人も苦手だ。

このお店に関してだけではなく、越権行為というのは上から下でも下から上でもあってはならないのである。

越権しなければいけない状況というのはシステムや取り決めに問題がある場合がほとんどで、席数と営業時間が物理的に決まっている箱商売ではなおさら重要だ。

「きちんと説明できないから手を出してしまう管理者の下で人は育たない」

ということだろう。

 

ぜひこちらもお読みください 一旦ぶっ壊れますねこれは。ただの予想ですが。


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